会場には5.1チャンネルを上下2層化した10.2チャンネルのサラウンド音響と、ステージを覆うように4枚の大型スクリーンが設置されており、独自の立体的音響効果/立体的映像効果を生み出している。
舞台にはスクリーンに映し出された初音ミクと動物型のキャラクター、そして音楽家である渋谷慶一郎自身が登場し、物語が展開していく。本作は悲劇的ストーリーやアリア、レチタティーボといった従来のオペラが持っていた形式はそのままに、人間の歌手もオーケストラも登場しない。物語の進展とともに、これまでオペラが結びつけられてきたヨーロッパ的人間中心主義と、生と死/パブリックとプライベート/部分と全体/線と層といった対立項の解体が試みられ、ミクが自分の劣化コピーや動物のキャラク ターと対話をおこなう中で、終わりとはなにか?死とはなにか?を観客に問いかけていく。
ボーカロイドによるオペラは可能か?
「終わり」をテーマに、ボーカロイド・初音ミクを主演に迎えて展開する世界初の「ボーカロイド・オペラ」。