ロボットを遠隔で操作するような一方的なコミュニュケーションではなく、人間同士がテクノロジーを通じてつながるとき、どのようなことがおこるのでしょうか。今後ウェアラブルテクノロジーやネットワーク技術の普及とともに、自分が見ているもの、感じているものを常に誰かに共有したり、必要な時に助けてもらうことが可能になるかもしれません。
このワークショップでは、複数人の参加者が簡易型のヘッドマウントディスプレイ(HMD)とカメラを装着して、ネットワーク越しに相互に体験を共有するシステムに身を置きながら、「鬼ごっこ」や「お絵描き」などの簡単なゲームをおこないます。参加者が装着するHMDには自分視点のカメラ映像に加えて、他の参加者の視点カメラの映像も表示されるので、普段のお絵描きや鬼ごっことは異なる複雑な状況が生まれます。こうした体験を通じて、自分以外の視点から自分の状況を把握する方法や、複数の映像から「自分」を理解する感覚を学びます。
このワークショップは、ソニーコンピュータサイエンス研究所(Sony CSL)研究員・笠原俊一氏と共同で開発しました。
ワークショップ概要
所要時間:2時間
参加人数:8人
対象年齢:小学4年生以上
ワークショップの流れ
- このワークショップの説明
- Parallel Eyes goggleの紹介
- 準備運動
- うろおぼえ書き
- 鬼ごっこ
- ディスカッション
- ふりかえり
トピック
Parallel Eyes goggle
装着すると、自分の視点のカメラ映像に加えて、他の参加者の視点カメラの映像も見ることができるヘッドマウントディスプレイ。4分割の画面のうちの1つに自分視点のカメラ映像、ほか3つに他者視点のカメラ映像が表示される。
他者の視界を見ることができる状況において、自分以外の視点から自分の状況を把握する方法や、複数の映像から「自分」を理解する感覚を学ぶ。
準備運動
Parallel Eyes goggleの特性を理解するためのエクササイズ。4人1組でParallel Eyes goggleを装着し、一人のカメラをテープで塞ぐ。自分視点の映像を見ることができなくなった人を会場内に置かれた椅子に座らせるため、他のメンバーはそれぞれのカメラを使って椅子まで誘導する。
参加者はこのエクササイズを通じて、他者の視界を見ることができる状況や、他者から見た自分の状況を把握する方法を学ぶ。
うろおぼえ書き
Parallel Eyes goggleを装着した状態で、「聖徳太子」「日本地図」などのお題に沿ってイラストを描く。うろおぼえなものでも、他者の回答をカンニングしながら書くことができる。参加者はこのエクササイズを通じて、他者の視界を通じて知恵を共有する方法を学ぶ。
鬼ごっこ
Parallel Eyes goggleを装着した状態で鬼ごっこを行う。鬼役も追われる役もお互いの視界が見えている状態で鬼ごっこをすることで、視界からお互いの位置を把握したり、鬼の視界に映らないように逃げるなど、普段の鬼ごっことは異なる状況が生まれる。
参加者はこの一連のプロセスを通じて、"自分"と"自分以外"の新しい関係性がもたらす、ネットワークで接続された体験と、知覚拡張の可能性について感覚的に学ぶ。